プロレスリングマスター武藤敬司よさらば

昭和の時代のプロレスラーといえば、まず最初に出てくるのは猪木・馬場。

 

スタン・ハンセンにハルク・ホーガン、アンドレ・ザ・ジャイアントやアブドーラ・ザ・ブッチャーといった外国人レスラーをはさみつつ、藤波・長州力・タイガーマスク、天龍に鶴田などなど……。

 

中年以上の年齢層で、特にプロレスファンでなくてもこれらの名前を挙げれば、あーいたねそういう選手!と反応してくれることでしょう。

 

そこから先、例えば全日本プロレスの四天王である三沢・小橋・川田・田上(と秋山)と、新日本プロレスの闘魂三銃士である武藤・橋本・蝶野辺りになると、プロレスをよく見る人とそうでない人とで反応が分かれてくるかもしれません。

 

その後の棚橋やライガーくらいでもギリギリ、オカダ・カズチカですらプロレスに興味無いと一般に名前が届いていないのではというくらいです。

 

とにかく、プロレスというエンターテインメントに国民が熱中していた時代と違って、現代ではどうしても今のプロレスラーが全国に名前を響かせることは難しいと言わざるを得ません。

 

そんな中で、上記の”ギリギリ一般層にも名前が届いているプロレスラー”の最後の1人と言ってもいい、武藤敬司選手が今日引退試合を行いました。

 

完全にプオタの話になるので省略しますが、武藤選手が渡り歩いたプロレスラー人生の最後のリングとしてプロレスリングNOAHを選んでくれたのは、NOAHファンの僕としてはとても嬉しいことで、しかも引退試合を行うことなくこの世を去ってしまった橋本、三沢の分まで背負ってやるという覚悟を見せてくれたわけで、そりゃもう平日だろうと東京ドームだろうと観戦しに行く人はたくさんいたようでなによりです。

 

最後の相手の内藤選手との関わりとか、試合内容とか、引退試合のあとにサプライズとして事実上現役を退いて解説をしていた蝶野をリング上に呼び出しボーナストラックの対戦をしたこととか、プロレスファンとして語ることはたくさんあることでしょう。

 

 

 

……ただ、僕は今日の対戦カードの中でオカダvs清宮がどうなるかとても楽しみにしていたんです。

 

1年前に期待のホープとして武藤と組んでオカダと対戦し、惨敗して男泣きに泣いてリングを降りた清宮が、再度タッグマッチで対戦したとき、令和の時代にアングルなのかシュートなのか判断しかねる顔面蹴りで遺恨を発生させ大いにプオタは沸き立ちました。

 

その後、清宮はマイクで直接対決を煽るもオカダは拒否。

 

本日の興行に対戦を組まれても出場をボイコットするような反応で、それに対し清宮もツイッターやYouTubeで逃げるな戦えと必死にアピール。

 

もしかして本当に対戦が無いことになってしまうかも……と皆が思い始めたところに、NOAHのリングにオカダが突如として現れ、清宮を必殺技でKOし対戦してやると宣言。

 

ここまでは賛否がありながらも大いに盛り上がりました。

 

直前までも試合形式を30分から時間無制限に変更しろ、完全決着してやると吠えた清宮の要望が通りその通りの対戦となり、迎えた本番。

 

……わずか16分ちょっとでオカダの圧勝。

 

は? 時間無制限どころか元の30分でもお釣りが来るじゃんよ?

 

何を思ってこのカードを組んだのか、新日・NOAH両者はどういう展開を考えてマッチングしたのか、真意を問いたい。

 

オカダは終始、良くも悪くも新日本プロレスのことしか考えてなくて、試合後のコメントでも形だけは清宮のことを認めてやっても良いくらいの言葉を発していながらも、結局は「もうNOAHはお腹いっぱい」と拒絶の意思を示しています。

 

一方の清宮は見事に実力と経験の差を見せつけられた、という格好になっていますが、プロレスのアングル的に「ギリギリまでオカダを追い詰めるも最後の最後で逆転されて散る」とか「劣勢で万事休すかと思いきや一発逆転の丸め込みで勝利」とかシナリオを作ることができたはずなんですよ。

 

それがなかったということは、NOAH側が内藤、オカダ、ヒロムといったトップ級選手を興行に借りるために交渉は下手に出る必要があったからなんじゃないかと。

(当然、実力はオカダ>>>清宮なのは認めてます)

 

この試合の結果をもって、NOAHあるいは日本プロレス界にどんな影響が発生するかというと何も無いでしょうね。

 

ただただ業界トップの団体のトップレスラーが他団体の王者に勝ちました。以上。

 

なーんも発展しないわ。

 

結局、武藤敬司という偉大なレスラーが引退したその後は、これまで通りに小さいパイを切り分けながら細々とプロレスというマイナージャンルに降格したエンタメを演じていくだけになりそうです。

 

 

今はただ、ありがとう武藤。今までお疲れ様でした。

 

それだけを言って終わりたいと思います。