2007/03/03の日記

それでも町は廻っている【1】【2】[石黒 正数] 巷で好評を得ているのを目にするにつけ、いつか買おう買おうと思っていた作品。 ……なのですが、どうやら私には合わなかったようです。 や、もちろん面白いか面白くないかと訊かれれば充分面白い部類に入ると思うのですが、自分的にツボにハマったシーンやセリフがほとんど無かったというのが正直なところ。ヘンにパロディネタとか入れなければ、もう少し素直にお話に乗れたんじゃないかと思います。 あくまで話のネタとして知識に入れておく程度には無駄にならない出費だったと思いたい。 ・オトメン(乙男) 【1】[菅野 文] これはもう完璧に表紙とオビとを見て即決買い。 そしてアタリ。 剣道全国一の腕前で男らしくクールなイケメン高校生の正宗飛鳥。 しかしてその実態は、少女漫画やファンシーグッズなど乙女アイテムをこよなく愛する”オトメン”だった……! てなお話。 もうこの設定だけで訴求効果はバツグンですが、ヒロインの都塚りょうは逆に家事一切ダメな男らしい女の子。そして二人の間を邪魔しているように見えて実は見守っているという謎の行動をとる、ちょっとした秘密持ちのナンパ男・橘充太。これだけキャラが立ってりゃつまらなくなるはずがない。 絵も少女漫画を読むということに抵抗が無い人ならば問題無く受け入れられるはず。 発売日は1/19だったので買ってる人はとうに買ってるでしょうが、迷ってる人には是非背中を押して差し上げたい。一作でありました。 ・キミキス-various heroines 【1】[東雲太郎] キミキスはプレイしてないが東雲太郎のエロ漫画は何度も読んだ! だからコレも買う権利があるはずだ! と心の中で逆ギレしながらもいそいそとレジに運んだ一冊。 連載中もたまに立ち読みで目にしていましたが、写真週刊誌のグラビアページをめくるとき以上に周囲の目線を気にしながら読んでいたことを思い出します。もう今の小中学生はこんな良いモノを気軽に読めるなんて良い時代になったもんですよねぇ……。 ちなみにSwing Out Sistersでは千夏姉派なので、学生服着用プレイをぜひともキミキスでも見たいのですが原作ではそのようなイベントは無かったでしょうか。無いならぜひオリジナル要素として。 ・リバースガール [椎家 友妻] 新風舎文庫大賞のライトノベル部門賞受賞作品だそうで。 オビには「超vツンデレストーリー」とありますが、実際には期待するツンデレ描写はほとんどありません。せっかく幼馴染みで小さい頃は虐められていた相手が、成長した現在ではオトコを作らずフリーの身で居続けるという美味しいシチュエーションであるのに、あまりそれらを活かしたメリハリが無い様に感じられました。 言い寄る男は断固拒絶! 同居している主人公にもそれは同じ、でも毎日顔をつきあわせているうちに幼馴染みとしての気安さも甦ってきて、徐々に距離が縮まっていく……みたいな描写があるべきだし、あって欲しかった。 文章的には、それほど読み難くもなくエロゲのテキストを読んでる気分。目を見張るような斬新さや豊富な知識量を覗わせる例の提示、あるいは独特な感性からの表現などとはどれも無縁ですが、話の流れは掴みやすい書き方をしてます。 ただ、時々出てくるフォント弄りは寒いだけなので今後辞めて頂きたいところ。 キャラは、主人公の「華奢で女顔」というせっかくのご褒美設定をまるで活かせてない以外は、幼馴染みに未亡人の母親にヒロインの親友にして裏事情通の影の生徒会長……とコマは揃ってます。これだけいれば充分5巻くらい話を続けられそうなもんですが、残念ながら今作は1巻完結であります。SSと称して勝手に話を改変したいくらいだ。 そして一番(悪い意味で)印象に残ったのが、ラストシーン。 上記の文庫大賞選考会で審査員が涙を誘われたらしいですが、最後の最後でアレではせっかくの涙も引っ込んでしまうのではなかろうか。同じく上で書きましたが、メリハリというか起承転結をビシっとキメて欲しいのですよ。特に無個性型主人公の場合は、要所のイベントでカッコイイところを見せておかないと全体の印象まで悪くなってしまいがちなもの。 そしてこの作品の主人公は、生憎なことに要所をキメることが出来ていませんでした。 もう少し話を上手く転がすことが出来れば、もっと良い評価が得られただろうに。